コルチゾール

概要

コルチゾールは糖質コルチコイドの一種であり、糖代謝、タンパク質代謝、脂質代謝の促進や抗炎症、免疫抑制に関与する、生体に必須のホルモンです。

コルチゾールの分泌は、朝が一番高く、夜に低くなる日内変動を示します。さらに、ストレスや副腎疲労に応答して分泌量が変動します。

ストレスを受けると脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが放出され、副腎皮質から分泌されたコルチゾールにより、生体防御機構が働きます。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、ストレス評価や副腎機能のバイオマーカーとして利用されています。

疾患との関係

<コルチゾールと副腎疲労症候群>

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)症候群では、長期のストレスが副腎機能を低下させ、コルチゾールの分泌が減少します。その結果、ストレスに対する生体防御機構が十分に働かず、不眠、疲労感やうつ症状などを引き起こします。現代のストレス社会において、このような症状を抱える人は増加しているといわれています。

副腎疲労症候群の治療では、食事療法およびビタミンなどの栄養補給、必要に応じてホルモン療法などを行います。特に、ビタミンCはコルチゾールの合成に重要であり、高濃度ビタミンC点滴は、副腎機能の回復に効果的な治療法であるといわれています。

唾液コルチゾールの分析は、副腎疲労症候群の診断や治療方針の決定、治療効果の判定にも有用です。

原理

質量分析(LC-MS/MS) による定量分析を行っています。

LCで分離された成分は、質量分析装置に入りイオン化されます。初めに目的のプレカーサイオンを選択し、続くコリジョンセルで不活性化ガスと衝突させ断片化します。さらに、プロダクトイオンを選択することにより、高選択性・高感度の定量分析が可能になります。このように、LC分離、分子量分離、部分構造分離の3つのフィルターにより、高い特異度(目的の分子だけを正確に測定する)で分析しています。

コルチゾールは、主にイムノアッセイを用いて測定が行われていましたが、類似する構造を持つコルチゾンなどのステロイドホルモンとの判別が困難です。特異性に優れた質量分析装置では、コルチゾールのみを選択し、測定することができます。

測定機器・施設

測定機器:トリプルQ型質量分析装置 8050(島津製作所)

実施施設:株式会社LSIメディエンスにて実施します。

バリデーション結果

測定サンプル

・唾液

 ※ヒトのみ分析可能です。

 ※最低検体数は30検体です。

 ※そのほかのサンプルについてはお問い合わせください。

サンプル調製

処理 :口を濯ぎ、スワブで採取後、ただちに遠心します。

    その後、上清をマイクロチューブに移し、速やかにドライアイス、または-80℃フリーザーにて凍結します。

       マイクロチューブには略号、または番号を記入ください。

必要量: 500 µL以上

保存 : -80℃

納期

検体受領より1カ月

納品物

電子データ(Excel)を提出いたします。

定量値のみの報告となります。

別途報告書が必要な場合は、お問い合わせください。

リーフレット

コルチゾール(775 KB)