3-デオキシグルコソン

概要

3-デオキシグルコソン(3-Deoxyglucosone:3-DG)は、糖化反応中間体の一つであり、糖化ストレスマーカーとして知られています。糖化反応では、グルコースやフルクトースなどの糖とタンパク質が結合し、最終的に終末糖化産物(Advanced glycation end products:AGEs)が生成されます。生体内におけるAGEsの蓄積は、老化や糖尿病などの疾患に関与しています(糖化ストレス)。また、糖化ストレスは活性酸素を増加させ、酸化ストレスを亢進させます。さらに、酸化ストレスは糖化反応を促し、糖化ストレスを増大させます。酸化と糖化は互いに影響し、この負の連鎖は老化の進行や病態の悪化を引き起こします。

AGEsの前駆体である3-デオキシグルコソン分析は、アンチエイジングや糖化ストレス関連疾患の研究分野で有用です。

疾患との関係

<3-デオキシグルコソンと糖尿病>

糖化ストレスによるAGEsの蓄積およびインスリンの糖化により、インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性を引き起こすことが報告されています。その結果、糖尿病ステージが進行し、さらに糖化ストレスを増大させます。

糖尿病患者の血中3-デオキシグルコソンは、健常者と比較し、上昇していることが示されています。さらに、腎症または網膜症を併発している糖尿病患者は、非併発糖尿病患者と比較し、血中3-デオキシグルコソンが増加していることも報告されています。また、血中3-デオキシグルコソン濃度が100 nmol/L上昇すると、糖尿病性腎症及び網膜症のリスクが約2倍になるといわれています。このように、 3-デオキシグルコソンは、糖化ストレスマーカーの他、糖尿病のバイオマーカーとしても注目されています。

 

参考文献

1) Y.Yonei et al. (2020) “Stop the “Vicious Cycle” induced by Glycative Stress.” Glycative Stress Research 2020; 7 (1): 13-21,
2) H.Kusunoki et al.(2003) “Relation Between Serum 3-Deoxyglucosone and Development of Diabetic Microangiopathy” Diabetes Care 26:1889–1894

 

原理

3-デオキシグルコソンをo-Phenylenediamine(OPD)で誘導体化後、質量分析(LC-MS/MS) で定量分析を行います。

LCで分離された成分は、質量分析装置に入りイオン化されます。初めに目的のプレカーサイオンを選択し、続くコリジョンセルで不活性化ガスと衝突させ断片化します。さらに、プロダクトイオンを選択することにより、高選択性・高感度の定量分析が可能になります。このように、LC分離、分子量分離、部分構造分離の3つのフィルターにより、高い特異度(目的の分子だけを正確に測定する)で分析します。

測定機器・施設

測定機器:トリプルQ型質量分析装置 8050(島津製作所)

実施施設:株式会社LSIメディエンスにて実施します。

バリデーション結果

測定サンプル

・血清、血漿

 ※ヒト・動物ともに可能です。

 ※最低検体数は30検体です。

 ※そのほかのサンプルについてはお問い合わせください。

サンプル調製

採血管(血漿):EDTA-Na, K およびヘパリン血漿(それ以外はお問い合わせください)

処理 :採血後すみやかに攪拌し、2000~3000 rpm,4℃,10~20 min遠心します。

    上清をマイクロチューブ(エッペンチューブ)に移し、速やかにドライアイス、または-80℃フリーザーにて凍結します。

       マイクロチューブには略号、または番号を記入ください。

必要量: 300 µL以上

保存 : -80℃

納期

検体受領より1カ月

納品物

電子データ(Excel)を提出いたします。

定量値のみの報告となります。

別途報告書が必要な場合は、お問い合わせください。

リーフレット

3-デオキシグルコソン(632.97 KB)