トリプトファン代謝物

測定対象物質

トリプトファン、インドール-3-プロピオン酸、インドール-3-酢酸、セロトニン、5-ヒドロキシインドール酢酸、キヌレニン、キヌレン酸、キサンツレン酸

概要

トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、食品から摂取されると体内で数多くの代謝物が産生され、様々な生理活性を示します。主要な代謝経路として、キヌレニン経路、セロトニン経路および腸内細菌叢が関与するインドール経路があります。トリプトファン代謝物は、糖代謝や加齢、免疫系への関与のほか、脳神経疾患、肝疾患、腎疾患および癌など多様な疾患と関連があることが報告されています。

本測定では多岐にわたるトリプトファン代謝物のうち、主要な8種を一度に定量することが可能です。

疾患との関連

<キヌレニン経路と統合失調症>

トリプトファンおよびキヌレニン経路の代謝産物は統合失調症との関連が報告されており、特にキヌレン酸は統合失調症の認知記憶障害と関連があるとの指摘が多くあります。脳内においてキヌレン酸はアセチルコリンによる神経伝達を制御しており、キヌレン酸の増加によって神経伝達作用は抑制されます。統合失調症患者の脳内ではキヌレン酸濃度の増加が認められていることから、アセチルコリン神経伝達が抑制され、それに伴って認知記憶障害が引き起こされている可能性が示唆されています。

 

参考文献

1) 植村富彦(2015)「統合失調症のキヌレン酸仮説」 26(4):223─ 234 日本生物学的精神医学会誌
2) E. Plitman et al., Kynurenic Acid in Schizophrenia: A Systematic Review and Meta-analysis, Schizophr Bull., 2017 Jul; 43(4): 764–777.

 

原理

トリプルQ型質量分析装置を用いたMRM (Multiple Reaction Monitoring)による定量分析を行っています。

Q1で目的のプレカーサイオンを選択し、続くコリジョンセルで不活性化ガスと衝突させ断片化します。さらにQ3でプロダクトイオンを選択することにより、高選択性・高感度の定量分析が可能になります。このように、LC分離、分子量分離、部分構造分離の3つのフィルターにより、高い特異度(目的の分子だけを正確に測定する)で分析します。

本測定では8成分を一度の分析で定量いたします。

測定機器・施設

測定機器:トリプルQ型質量分析装置 Ultivo(Agilent Technologies社製)

 実施施設:株式会社LSIメディエンスにて実施します。

バリデーション結果

測定サンプル

・血漿

 ※ヒト・動物ともに可能です。

※最低検体数は30検体です。

※その他サンプルについてはお問い合わせください。

サンプル調製

採血管:EDTA-Na, K およびヘパリン血漿(それ以外はお問い合わせください。)

処理 :採血後すみやかに攪拌し、2000~3000 rpm,4℃,10~20 min遠心します。

    上清をマイクロチューブ(エッペンチューブ)に移し、速やかにドライアイス、または-80℃フリーザーにて凍結します。

       マイクロチューブには略号、または番号を記入ください。

必要量: 300 µL以上

保存 : -80℃

納期

検体受領より1カ月

納品物

電子データ(Excel)を提出いたします。

定量値のみの報告となります。

別途報告書が必要な場合は、お問い合わせください。

リーフレット

トリプトファン代謝物(535.99 KB)