プロテオミクス 受託解析(DIA法)

プロテオミクス 受託解析サービス (DIA法)
【網羅的タンパク質解析】

最新の分析機器を使ったタンパク質の網羅解析、バイオマーカー探索のプロテオーム解析受託追加サービスをご提供いたします。

【タンパク質の網羅解析(比較定量)】は、バイオマーカーとなる候補・経路が決まっておらず、広く網羅的にタンパク質発現変動を解析したいというお客様にお勧めです。

(ターゲットタンパク質を絞って高感度・高再現性での定量分析をご希望の方は こちらのページへ)

概要

プロテオミクス技術は質量分析装置の発展とともに大きく成長してきました。特に最近10年間の発展は目覚ましく、タンパク質の検出感度や同定率、定量再現性も飛躍的に向上しています。

2010年頃から「ショットガン法(DDA:Data dependent acquisition )」に代表される、ノンターゲットプロテオミクスが普及してきました。本法では酵母などの比較的複雑性の低いサンプルにおいては、全タンパク質の同定にも成功しています。しかしながらヒトのように遺伝子数も多く、かつ発現ダイナミックレンジも非常に広い生物種を対象とした場合、低発現タンパク質の検出や定量再現性に課題がありました。近年この課題へのアプローチとして、MRM技術を応用したiMPAQT法や、SWATH技術を用いたDIA(Data independent acquisition)法による高感度かつ高精度なプロテオミクスが普及しつつあります。

本ページではこのDIAプロテオミクスの受託サービスについて紹介します。

 

MRM  :Multiple Reaction Monitoring
iMPAQT:in vitro proteome-assisted Multiple reaction monitoring for Protein Absolute QuanTification
SWATH :Sequential window acquisition of all THeoretical fragment ion spectra

原理

質量分析による従来のプロテオミクス(DDA法:ショットガン法)分析では存在量の多いタンパク質から順に検出・同定しており、低発現タンパク質の検出や再現性に課題がありました。一方、DIA分析では存在量に関係なく、全てのMS/MSスペクトルを取得し、事前に構築したスペクトルライブラリーと照合する事で従来技術よりも高感度で正確なプロテオーム解析を可能とします。DIA分析ではヒト細胞などを用いた場合、一回の分析で5000タンパク質以上の比較定量が可能です。

DIA分析の流れ

DIA分析の特徴

特徴①:分析深度

従来のショットガン(DDA)法のように、MS1 で検出されたペプチドピークを選択してMS2解析を行うのではなく、MS1 の全m/z レンジを細かく区切りながら連続的にMS2 を取得します。これによって、ピーク強度の低いペプチドを含めてMS1 で観測されたすべてのペプチドピークに対してMS2 を取得できるため、微量タンパク質・ペプチドの検出が可能で分析深度(高感度)の高い測定が可能です。

 

特徴②:定量再現性

定量解析では実際にペプチドの同定に使われたMS2 ピークを用いて定量値を算出するため、ショットガン法のように分子量が類似するペプチドが同じ溶出時間に検出されても区別することが可能であり、ピークの取り間違えが起きづらく、正確な定量値を導き出すことができます。

各プロテオミクス技術の比較

従来のプロテオミクスであるDDA法や、iMPAQT法に代表されるMRMベースのターゲットプロテオミクス技術、およびDIA法の特徴を比較すると以下のようになります。

分析例

HEK293F細胞を用いたRNA-seqおよびプロテオミクス相互解析の結果、RNA-seqの結果検出された約12000遺伝子のうち、従来DDA技術では約3000タンパク質しか検出されなかったのに対して、高深度DIAプロテオミクスでは約8000種、70%ものカバー率を得ることが可能となりました。

DIAプロテオミクスを用いれば従来技術では検出できなかったキナーゼや転写因子なども検出できる可能性があります。

関連論文掲載情報

測定機器・施設

測定機器:Q-Exactive HF-X(Thermo Fisher Scientific社)

実施施設:DIA分析はかずさゲノムテクノロジーズ社(販売元:プロメガ株式会社)にて実施します。

測定サンプル

ヒト・動物の

培養細胞:1×10^6個以上

凍結組織:10mg以上

→脂肪細胞や脳組織など脂質を多く含むサンプルの場合は通常の倍以上のサンプル量が必要です。

 リン酸化解析の場合は細胞:1×10^7個以上、組織:50mg以上が必要です。

血清・血漿:20μL以上(オプションの前処理作業必須)

ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE):厚さ10~20μm、表面50mm^2以上(オプション前処理作業必須、ホルマリン固定時間は48時間以下)

 

その他サンプルについてはお問い合わせください。

サンプル調製

以下はサンプル調製の概要です。実際にご準備いただく前に、一度ご連絡ください。注意事項や詳細をお伝えいたします。

 

培養細胞:培地を除去後、PBSにて2回洗浄し、チューブに入れて液体窒素にて凍結

組織:取り出した組織をPBSにて洗浄し表面の血液を除去した後チューブに入れて液体窒素で凍結

血清・血漿:チューブに入れて液体窒素で凍結

FFPE:チューブに入れてパラフィルムを巻き、常温で送付

 

液体窒素がない場合は、速やかにー80℃にて凍結してください。(金属ブロックなどがあれば事前にー80℃に入れ、そこにサンプルを置いて急速に凍結させる事を推奨します。)

価格

ご依頼内容により価格は変動いたします。

ホームページのお問い合わせフォームか、お電話にてお問い合わせください。

 

以下の事例は参考価格です。

2023年4月現在の参考価格です。依頼内容により変動しますのでご注意ください。

納期

検体受領より4週間程度

納品物

  • MS測定データ (.rawファイル)
  • タンパク質同定・相対定量解析データ(解析ソフトウェア DIA-NN で出力されるデータ)
  • 観測されたタンパク質名・タンパク質の定量値などを記載したリスト(Excelファイル)

以上をHDD、DVD-RまたはUSB  メモリスティックに収納して納品いたします。

定量リスト例(1.18 MB)

問い合わせ・ご依頼

お問い合わせはこちら

 

分析をご依頼の方はお問い合わせフォームより以下の情報をご連絡ください。

 

<サンプル情報>

サンプルの生物種(例:ヒト・マウス等)

サンプルの種類(例:細胞、凍結組織、培養液等)

サンプルの状態(例:細胞凍結ペレット、凍結組織片、可溶化バッファーに溶解等)

サンプルのタンパク質濃度(分かる場合のみ)

サンプル数

 

<ご希望の受託サービス>

簡易)DIAプロテオーム解析によるタンパク質発現・相対定量解析

標準)DIAプロテオーム解析によるタンパク質発現・相対定量解析

高深度)DIAプロテオーム解析によるタンパク質発現・相対定量解析

標準)DIAリン酸化プロテオーム解析によるタンパク質発現・相対定量解析

高深度)DIAリン酸化プロテオーム解析によるタンパク質発現・相対定量解析

 

<オプション>

血清・血漿サンプル前処理

FFPE前処理

液体サンプル(体液・培養上清・タンパク質溶液)クリーンナップ

同一サンプルの繰り返し測定

 

<ご要望詳細>

 

参考資料

KPSL News Vol.7:プロテオミクス特集② 〜DIA法による網羅的なタンパク質解析〜