エクオール類

測定対象物質

エクオール、ダイゼイン、ゲニステイン

概要

特殊な腸内細菌により、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインからエクオールが産生されます。エクオールは女性ホルモン(エストロゲン)と構造が類似しており、弱い女性ホルモン活性があるため、この腸内細菌をもつ女性が大豆食品を定期的に摂取すると、更年期障害の症状が緩和されることが知られています。しかしながら、すべての女性がエクオール産生能を有しているわけではなく、女性の約3人に1人しかこのエクオール産生腸内細菌をもたないと言われています。したがって、検査によりエクオール産生能を判定することで、サプリメント等補充療法の必要性を判断できます。また、エクオールの原料となるダイゼイン、さらには同じイソフラボン類のゲニステインを同時に調べることによって、腸内細菌の状態を把握することができます。

特 徴

特徴① 尿中および血中エクオールの定量分析が可能

一般に採取が容易な尿を使ってエクオール検査をすることが多いですが、実際には女性ホルモン活性を有するのは血液中のエクオールです。よってKPSLでは研究を目的に血液中のエクオール濃度検査も提供しております。血液と尿の双方の濃度を調べることで、産生能だけでなく、排泄能を含めた総合的な体内のエクオール環境を知ることができます。 

特徴② 高選択性・高感度の定量分析が可能

従来のイムノアッセイ法は、エクオールと構造が類似する他のイソフラボン代謝物との識別が困難です。一方、本測定の分析手法である質量分析法では、質量によって厳密に分離されるため、他の成分との誤認識のおそれがありません。

原 理

エクオール、ダイゼイン、ゲニステインの3成分について、質量分析(LC-MS/MS)による定量分析を行っています。

LCで分離された成分は、質量分析装置に入りイオン化されます。初めに目的のプレカーサイオンを選択し、続くコリジョンセルで不活性化ガスと衝突させ断片化します。さらに、プロダクトイオンを選択することにより、高選択性・高感度の定量分析が可能になります。このように、LC分離、分子量分離、部分構造分離の3つのフィルターにより、高い特異度(目的の分子だけを正確に測定する)で分析します。

 

測定機器・施設

測定機器:トリプルQ型質量分析装置 6470(Agilent Technologies社製)

     トリプルQ型質量分析装置 Ultivo(Agilent Technologies社製)

 実施施設:株式会社LSIメディエンスにて実施します

バリデーション結果

測定サンプル

・血清

・尿

 ※尿検体におけるクレアチニン補正は行いません。

※最低検体数は30検体です。

サンプル調製

処理(血清):採血後、直ちに遠心分離し上清をマイクロチューブに移します。

       速やかにドライアイス、または-20℃フリーザーにて凍結します。

          マイクロチューブには略号、または番号を記入ください。

   (尿):採尿後、マイクロチューブに移します。

       速やかにドライアイス、または-20℃フリーザーにて凍結します。

          マイクロチューブには略号、または番号を記入ください。

必要量:500 µL以上

保存 :-20℃(検体採取から測定まで1カ月以上要する場合は-80℃保存を推奨します)

定量範囲

血清:エクオール   1 ~ 1,000 ng/mL

             ダイゼイン    1 ~ 1,000 ng/mL

             ゲニステイン   3 ~ 3,000 ng/mL

 

尿: エクオール       10 ~ 10,000 ng/mL

          ダイゼイン       30 ~ 30,000 ng/mL

          ゲニステイン      30 ~ 30,000 ng/mL

 

※いずれも抱合体を含む全濃度となります。

※報告値の上限は設定しておりません。(定量上限を超えた場合、検量線を外挿し定量値を算出します)

納 期

検体受領より1カ月

納品物

電子データ(Excel)を提出いたします。

定量値のみの報告となります。

別途報告書が必要な場合は、お問い合わせください。

リーフレット

エクオール類(606.95 KB)